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    会期:平成24年9月16(日)〜17(祝・月)
    会場:ウインクあいち(愛知県産業労働センター)

SJF学会 理事長挨拶

【名古屋学会「技術の研鑽」に寄せて】
活動報告写真
              関節ファシリテーション学会
                 理事長 宇都宮 初夫

 理学療法とは物理医学という治療医学の一分野に属している。「物理的な手段」すなわち光、熱、水、電気、音、機械的な力、マッサージ、運動などを用いて治療する分野が物理医学として存在している。これが治療医学における物理医学の位置づけであり、薬剤を使用して治療する内科、手術を治療手段とする外科と並び治療医学の一角としてある。治療医学はすべて「診断と治療」からなっていて、医師がその実践者である。ところが物理医学にあっては内科、外科とは異なり、診断と治療を分担実施する方法がとられている。つまり診断は医師が行い、治療は医師の処方のもとで、理学療法士・作業療法士がこれを担当するという形式である。物理医学で使用する手段を自動的、他動的に分類すると、物理療法はすべて他動的であり、運動療法は自動運動と他動運動に分けられる。技術の研鑚が必要なのは、物理療法の他動的な治療法と運動療法の自動運動ではなく、運動療法の他動的な技術である。筋の収縮をするのは自動運動であるが、それを促す身体外部からの刺激入力は他動的に行うため、技術の研鑚を要する治療技術はPTOTの行う治療行為ということになる。リハビリテーションに関する技術としては、動作介助法がこれにあたる。あるいは技術を「判断」まで含めると、検査技術とこれから得られた患者の反応を、どのように解釈するかまでが技術として含まれることになる。さらには後進の育成に必要な教育の仕方までも技術に含めると、その意味するところは広範囲におよび、「研鑚」しなければならない技術は膨大である。とはいえ医療全体と患者との関係から考えると、医師、看護師、検査技師、放射線技師など他の職種の行う技術は、PTOTの専門ではないため、これらの技術まで研鑚する必要はない。そのように考えると我々の守備範囲はおのずと限定されていて先ほど述べた膨大さは、さほどではないと考えられる。

 以上のことを我々の専門技術として研鑚すべき技術として具体的にあげると、他動的な治療技術、治療によって得られた効果判定の技術、およびこれらの技術を後進に伝えていく教育技術ということになるであろう。これらはいずれも他の職種にはとってかわれないPTOTの専門技術であるため、自らが研鑚すべき技術である。

 SJFは直接手の届く“関節”を治療対象としている。関節内運動機能障害(Intra-articular movement dysfunction, IMD)に対する治療法として、目には見えない関節内運動を弱い力で(1kg程度)、数mm(せいぜい2〜3mm)程度の範囲、10〜30msec.の時間で他動的に動かすという極めて高度で繊細な熟練を必要とする治療技術である。力、範囲、速度をほんの少しでも超過すると症候は悪化するし、不足すると効果は表れない。うまくいくとその効果は即効的であり、痛み、しびれ、めまい、耳鳴り、腫れ、発赤、皮膚の硬化、筋スパズム筋力低下、ROM制限などが、たちどころに同時に消失する。これまでのPTOT治療と比較すると、まるで「魔法」か「手品」のような治療に見える。これを効果的に患者に使えるようになるためには少なくても5年以上の経験が必要となる。

今回の学会でこれらの技術の研鑚をそれぞれの立場で考え、効率的な研鑚方法について論じるのは極めて大切なことになるであろう。これまでこのようなテーマで学会では検討されることが少なかったように思われる。名古屋での学会で大いに考え学ぼうではありませんか。


 


第13回SJF学会学術大会 事務局

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